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■ 「経験知」とは:
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経験序列制をとるためには、経験知による評価システム(経験知による判断基準の軸)を整えることが必須で、それにはポストに見合う「経験知」というものを整理しておく事が必要です。
「経験知」とは、「経験」を通じて培われる「知識や知恵」をいい、課題解決のためのコツやポイント、事例(応用例)など、「机上の知識やスキルを、課題解決のために生きたものに変える」際に活用したノウハウのことをいう、とします。
ノウハウというのは、そのままでは再現性が乏しくまとまりのない情報ですが、視座を整えそれを基点に置き、そこから文書化の対象とする活動を眺めると
「①反射的繰り返しの活動ベースにした活動」
「②一定のルールに基づいて行う活動」
「③(新たな現象に対処すべく、)理論で得た机上の知識を生きたものに変える活動」
と、概ね3つに分けることができると考えました。
この考え方で整理すると下記のように、①から③へと移行するに従って「机上の知識やスキルを、現実の課題処理に使う」ことの複雑さ難しさが増し、課題処理という活動が難しくなるというように並べることができます。 「難しさ」の背景にあるのは、「場」に生まれる課題が抱えている範囲の広さであったり、深さです。
この考え方を一つの作業、一つの職種、一つの組織、一つのポストに当てはめて眺めると、どんな感じに整理できるのか、それを実際に眺めてみます。 |
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例1:一つの<作業>の場合 |
難易度 |
序列 |
視座:「パソコンで、文書作成ができる」 |
易 |
① |
キー操作 |
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② |
文字変換の操作 |
難 |
③ |
表、図、レイアウト、関数を使う操作 |
例2:一つの<職種>の場合 |
難易度 |
序列 |
視座:「機械の操作で製品を作る」 |
易 |
① |
機器の部分的運転者(マニュアル・オペレーター) |
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② |
機器の全体的運転者 |
難 |
③ |
機器全体の活動状態を監督者 |
例3:一つの<組織>の場合 |
難易度 |
序列 |
視座:「組織活動の継続性を確保する」 |
易 |
① |
新人社員層 |
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② |
中間管理職層 |
難 |
③ |
経営層 |
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■ 経験序列に活用する情報部分: |
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「経験序列」という考え方の中では、「経験」を「机上の知識やスキルを、現実の課題処理に使えること」としていますが、上記のように考えると課題処理という活動に難易度に序列を整えることができることがお判りいただけると思います。
ところで、経験序列型管理に使う文書は「ポスト」という、<組織>の中の<職種>にある活動が対象です。
その時の序列の考え方が、例4です。
この②のところの情報に上記でいう「難しさ」が特に表れます。
「経験知」の序列化は、各ポストの②のところの情報の内容で難易度を整理し、秩序を整えていくことで生まれる状況を「経験序列」といいます。
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例4:一つの<ポスト>の場合 |
難易度 |
序列 |
活動のありたい形:「ポスト活動の継続性を確保する」 |
易 |
① |
ポストの結果に量的結果をもたらす活動 |
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② |
ポストの結果に質的安定感をもたらす活動 |
難 |
③ |
ポストの結果に拡がりと深さを持たせる活動 |
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■ 序列の基本: |
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序列を整えるのに活用するのは、「気づきチェック」によって担当者から集めた材料です。
その材料から、課題に対して担当者の「気づく」という心的活動が及んでいる広さ、深さ、そして複雑さを単純化する力を軸に序列を整えるのを基本とします。
こう表現すると何やら複雑そうですが、どの組織でも「そういう力」のあると思われる人しか、そのポストに付けてはいないものです。
よって、この序列の基本で整理した考えを現在にあてはめても、それだけで組織の上下が変動することはないはずです。 |